隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
 結局は寝室まで連れてこられた。

 中に入ると窓からは春の陽射しが燦々と降り注いでいた。部屋の真ん中にベッドと脇のサイドテーブルには数冊の本とランプがあるだけ。余分なものがない文字通り寝室、リビングより殺風景すぎる部屋だった。

 羽琉矢はベッドに結愛を横たえた。

 顔の脇に手をつくと真上から結愛を見つめる。これからの行為に不安を覚えているのだろう。無言のまま青白い顔で震えている。

 捕まえた小鳥はとても素直で純真でとても愛しい。

 想いが通じただけで嬉しかった。

 初めては誰にでもあるが、いつかは訪れることでも、今ではなくてもいいような気がする。

 恋愛なんてしたことがないから、つき合うことがどんなことか具体的には分からない。でも二人の歩幅を合わせて、ゆっくりと二人の時間を育んでいければいい、と思う。

 それなのに、初めての告白をして、初めてのキスをして、今はベッドの上でって、何があったらこうなっちゃうの? 展開が早すぎてついていけなくて、泣きそうになる気持ちを抑えて羽琉矢を見上げた。

 シーンと静まり返った部屋の中、羽琉矢と二人だけ。

 そういえば物音一つしない。今まで不思議と人の気配は感じなかったが、平日とはいっても大きな屋敷の中、誰もいないとは思えなかった。


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