隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「淋しくはないんですか?」

「それはないよ。僕をいくつだと思ってるの?」

 揶揄するように笑う羽琉矢に、一人だからって、淋しいと思うような年齢ではないことくらいは分かる。普通だといった声が淡々としていて、少し気になって、無意識に手を伸ばした。
 大人だけれど、本当に淋しいと思うことはないのだろうか?

 結愛は両親と三人暮らしだが、淋しいと思ったことはなかった。休日は両親と過ごす事が多かったし、笑いが絶えなくて、父も母も優しくて、今でも一心に愛情を注いでくれているからだ。

 怖々、頬に触れた結愛の手が熱い。心配そうに覗き込む結愛の瞳。

 本来ならば本邸で暮らしているのが当たり前で、一人で住む必要などなかった。自分の性質のせいで人目を避けるような生活をしてはいるが、悲嘆にくれるような性格をしているわけでもない。自分にとってベストな環境を選んでいるだけだ。

 それに……

「でもおかげで、結愛と出会えたからね。それを思うとここに住んでよかったって、思えるな」

 満面の笑顔で言い切ると、頬に添えられた手のひらにキスをした。
 恭しく口づけられて、こそばゆくなるほどの羽琉矢の直截な言葉に、彼の顔を凝視できなくて視線を彷徨わせた。

「それに、今までは一人でも、これからはずっと、結愛がそばにいてくれるでしょう? 僕は今が一番幸せだよ」

 ずっと……

 羽琉矢の言葉に衝撃を受ける。口調はおどけたような軽口でも、話の内容はきっと本気だ。今が一番幸せって言われて羽琉矢を見ることは出来なかった。


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