隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「唇も桃みたいに甘いね。他の場所もこんなに甘いのかな? 食べてみたいな」

 耳元で囁かれて心がきゅんと締め付けられる。

 良いとも嫌とも言えなくて、ドキドキと早くなる鼓動に呼吸も浅くなる。情欲に支配された瞳に捉えられて、吸い寄せられるように視線を外せなかった。

 熱い。

 どうしよう。

 このまま羽琉矢の情熱に呑み込まれてしまいそうだ。

 上下を繰り返す胸と零れる甘い呼吸。潤んだ瞳に見つめられて、囚われるのは羽琉矢も同じだった。捕えるのも囚われるのもどちらも一興かもしれない。
 結愛しか考えられない。結愛しかいらない。

 僕から逃げ出せないように、極上の蜜に少しだけ毒を含ませて……囁いた。

「ねえ、結愛。僕を結愛のものにして?」

 蕩けるような瞳で強請られて、

「結愛、僕のものになって?」

 蕩けるような声で懇願されて。

「ね?」

 蕩けるような笑顔で返事を促されて。

 クラリと眩暈がする。口当たりのいいカクテルに惑わされ、酔った時のような酩酊感が襲う。
 逃げられない。逃がす気なんてない甘美な誘惑。

 これ以上、拒否なんてできなかった。

 羽琉矢さんが好き。羽琉矢さんだけ。

 湧き上がった想いは、身体の中の隅々まで満たしていく。
 見つめる瞳がずっと自分だけを映してくれたら……名前を呼ぶ声がずっと自分だけを求めてくれたら……羽琉矢さんが、欲しい。 

 結愛は熱に浮かされた瞳で見上げると、ゆっくりと頷いた。


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