隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
 止まらない。

 舌を滑り込ませ、淫靡な音を立てながら長いキスを繰り返した。やがて、抱きしめていた羽琉矢の手は下へとのびていき、身体のラインを辿るように腰をなぞった。

「んっ……」

 ゆっくりともどかしく這わされる手に、結愛は思わず身を捩る。

 もう一度。

 再び呼び覚まされる官能の灯。

 ダメ。ここで流されてしまったら、溺れてしまう。帰れなくなってしまう。

 結愛はガウン越しに伝わる熱に抗うように言葉を紡いだ。

「もう……帰らないと……」

「うん、そうだね」

 羽琉矢は背中を撫でながら軽く答えた。だが、その手は止まらない。背中に回っていた手が胸の膨らみに触れた。その途端、じんと痺れが足先にまで届いた。身体の奥がまた熱くなる。

「あんっ……ダメ……羽琉矢さん」

 濡れた声で拒もうとしても説得力はなかった。羽琉矢は大胆に膨らみを揉み始めた。先端が布に擦れて敏感になる。

 漏れそうになる声を寸でで堪えて、

「羽琉矢さん。帰らないと……遅くなってしまうから」

 胸に這わされていた手に結愛は手を重ねて、そっと制した。

 羽琉矢はちょっと焦ったような結愛の様子に、動きを止め外を見た。

 陽射しは濃いオレンジ色に染まり、夕闇が迫っている事を告げていた。ぐずぐずしていたらすぐ夜になってしまう。

「家の人が待ってるの?」

「いえ。一人なので……そうではないんですけど」

 門限でもあるのかと心配していたら、

「だったら、いいよね?」

 羽琉矢は何の問題もないとばかりに首筋に顔を埋めた。舌先が柔らかな肌を辿る。それだけでぞくりと全身が粟立った。

「あぁ……ダメ……です。本当に……帰ら……ないと」

 首筋を舐める舌に唇に身体は歓喜に震えていても、落ちそうになる心を必死に抑える。

< 111 / 120 >

この作品をシェア

pagetop