隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「とにかく、会社にはすぐに顔を出してくれよな。ところで、今年に入ってから外に出たか? パーティーとかもいくつかあっただろ?」

「何、急に」

 泰雅の出し抜けな話題転換に、羽琉矢は面食らったような顔をした。

「ちょっと聞きたいだけだ。出席したのか?」

 急かすような問いに、羽琉矢は面倒くさそうに溜息をついた。
 
「行ってないよ。特に必要性も感じなかったし、僕が出席しなくてもすみそうなものばかりだったからね。それにああいう場所が苦手だってことは、泰雅だってよくわかっていると思っていたんだけど?」

 知っていて何を言わせると少々の怒気を匂わせる羽琉矢に、

「それは、俺だって似たようなものだから、お前のことはとやかく言えないけどな……」

 泰雅はバツが悪そうに言葉を濁した。

「実はこの前、本家に顔を出した時、祖母様ばあさまに会って羽琉矢宛に招待状がいくつか届いているって聞いたんだよ。おまけに、私も年だし、いつまで元気でいられるかわからないとか言い出して、涙ぐむし、宥めるのに苦労したんだぜ。まいった」

 泰雅は椅子の背に体重を預けて天井を仰いだ。
 
 やっぱり……お祖母様か。

 予想通りすぎて言葉も出ない。

 七十を超えてなお、現役で家内を取り仕切っているのだ。

 人脈も広いため社交界にも精力的に顔を出している。その姿を見るにつけ、まだ三十年は大丈夫だろうと思っている。
 そのくらい元気な祖母なのだ。
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