隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「羽琉矢にはそれ相応の家柄が望ましいだろうから、俺に比べれば、選択範囲は狭まるだろうけどな」

「それは嫌味?」

「まさか、当然の条件だろう。祖母様達や叔父さん達然り、相応しい家柄同士の結びつきは、綴木家にとっても利益になる」

「政略結婚に関係のない泰雅が言っても説得力ないよ」

「まあね。兄二人が、めでたく理想的な結婚をしているからな。三男の俺はけっこう自由にできる」

「ホント、嫌味だよね」

 家柄や血筋に縛られず、好きに相手を選べる立場の泰雅が羨ましくなった。

「見合いしてみれば?」

「結局、そこにいきつくわけ? もしかしてお祖母様の回し者?」

「そうじゃないけど、たまには世間を見てみるのもいいかと思ってさ」

「……考えとく」

 全然取り合う気はなかったが、終わりそうにないのでとりあえず返事をしておいた。

 話が変な方向へと進んでしまった。いつもならとりとめのない世間話や近況を話すくらいなのに、今日の泰雅は妙にしつこかった。

 結婚なんて出来るものならとっくにしている。容易に相手が見つかるなんて思ってはいない。求めるものは家柄でも血筋でもましてや財産でもない。

 唯一求めるものは……




***


 羽琉矢は泰雅が帰った後、縁側へと移動した。

 今日はとても陽気が良くて、天気もいい。

 気持ちを一新させて、ガラリと硝子戸を開けて庭へと出ていった。

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