隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「答えられないなら、不法侵入で警察を呼ぶよ」

 いつまでも黙ったままの結愛に焦れて冗談のつもりで言ったのだが。

 警察?!

 羽琉矢の言葉に結愛は背筋が凍った。

 みるみるうちに顔が青ざめていく。
 人の家に勝手に入ってしまったのは結愛だ。香りに惹かれてなんて理由にはならないだろう。

「ごめんなさい。すぐに出ていきますから、警察は呼ばないでください。お願いします。お願いします」

 頭を深々と下げると、必死に謝った。

 警察に引き渡されたらどうしよう。悪いことをしてるつもりなんてなかったのに、両親に心配をかける。どうしよう。警察には行きたくない、どうしたらいいの。頭の中をぐるぐると色んな思いが駆け巡る。

「すいません。許してください、絶対に二度と来ませんから。すぐに出ていきますから」

 一気に早口で言うと結愛は身を翻して立ち去ろうとした。

「待って」

 帰られたら困る。楽しみはこれからなのに。羽琉矢は慌てて引き留める。

「きゃっ」

 結愛は走り出そうとした腕を掴まれた反動で、体のバランスが崩れて倒れそうになった。

 転ぶことを覚悟した結愛はぎゅっと目を瞑った。
< 26 / 89 >

この作品をシェア

pagetop