隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
 リビングへとやってきた羽琉矢は、ソファの上に結愛を座らせた。

「ここで休んでいくといいよ」

 座った結愛を見下ろすと、彼女の視線とぶつかった。
 不安そうに揺れる瞳がとてもいい。

「すみません。ご迷惑をかけてしまって」

 結愛は身を縮こませて謝った。
 羽琉矢の態度から、面白がられているだろうなとは薄々感じてはいた。

 だが、ここまで世話を焼かせる女だとは思いもしなかっただろう。本当に迷惑がられていなければいいが。もう会うことはないとはいえ、印象がいいに越したことはない。

「気にしないで。それにしても桃を食べて腰を抜かすって、よっぽど桃が美味しかったんだね」

 羽琉矢はプッと吹き出した。

 先ほどの光景を思い出すと、自然と笑いが込み上げてくる。

 ペタンと座り込んでしまった瞬間の、これ以上はないってくらい大きく目を見開いて、呆然としていた結愛の表情が愛らしくて。またもや悪戯心が出てきてしまったのだ。

 結愛はからかいを含んだ声に、顔が瞬時にボッと赤く染まった。耳まで真っ赤だった。

 恥ずかしい。

 顔があげられない。消えてなくなりたい。どれだけ印象が悪いんだろう。

「やっぱり帰ります」

 これ以上は無理だ。羽琉矢の好奇な表情にこれ以上耐えられない。

 立ち上がろうとした結愛だったが、足に力が入らなかった。

 腰を浮かせただけの中途半端な体勢で前につんのめってしまい、気付いたときには遅かった。


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