隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
 羽琉矢さんの上に……上に……上?! と、そこまで考えて、やっと自分がどこにいるのかを理解した。

 結愛は上機嫌の羽琉矢の腕の中にいた。しかも自分が彼を見下ろした格好だった。

「きゃあ!」

 やっと事態を把握したらしい結愛が急いで体を起こす。

 早く離れなければ。

 今まで羽琉矢を下敷きにしていた。きっと重かったに違いない。なんという失態だろう。今度こそ呆れられたに違いない。

「すみません。すみません。すみません。すぐにどきますから」

 今日は何回謝っているのだろう。恥ずかしいどころの騒ぎではない。結愛は急いで体を動かそうとした。

「待って! まだダメだよ。急に動いたりしたら、また転ぶよ」

 羽琉矢の諌めるような声がして腕を掴まれた。結愛はその言葉に動きを止める。

 また転んでしまったら、今度は立ち直れないかもしれない。
 これ以上の失態は致命傷。心がイタイ、精神衛生上良くない。

 何でこうなってしまうのだろう。今すぐ立ち去ってしまいたいのに、腰にはまだ力が入らない。

 帰りたいのに。

 これ以上、みっともないところを見せたくない。

 見せたくないのに……まだ……帰れない。

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