隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「愛情か。そうだね、僕もスムージーを作る時に結愛のことを思っていたよ。美味しいのはそのせいかもしれないね」

『結愛のことを思って』

 衒いもなく言われたその言葉に、ドキッと跳ねた心臓の音がはっきりと聞こえた。羽琉矢の言動一つ一つに心が揺さぶられる。

 だが、考え方も色々でただ単に思っただけ。それだけで、この言葉に他意はないのかもしれない。自分勝手にいちいち反応していたら身が持たないし、自惚れもいいとこだ。

「恥ずかしいです。ドラマとかのベタなセリフみたいで」

「そうかな? それってとても大事なことだと思うよ。料理に限らずね」

 笑わずに耳を傾けてくれる彼に、

「羽琉矢さんって優しいんですね」

 お礼を込めて言った。声は裏返っていなかっただろうか。普通に話せただろうか。

 もうこれでいい。最後は笑って別れられたら、それだけでいい。

 結愛は残りを飲み干した。

 ひんやりとしたスムージーがほどよく心の熱を沈めてくれた。
 そのおかげで少し冷静になれたような気がする。

「美味しかったです。一人で頂いちゃったのが申し訳ないくらい」

 コトリと空になったコップをトレイの上に置いて、結愛は精一杯笑った。

 綺麗な笑顔ではないかもしれないが、それでも自分にできる最高の笑顔を羽琉矢に見せた。


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