隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「そう、なんだ。結愛って僕のこと嫌いだったんだ。嫌われているなんて思わなかった……」

 傍から見てもわかるくらい大きく失意する彼の姿に、グッと胸がつまる。

 結愛は羽琉矢の言動に右往左往する自分の姿を、冷徹に観察されていることなど気づかない。

「結愛は誰かとつき合ったことあるの?」

「?」

 虚をつく脈絡のなさそうな質問に、結愛は目をぱちくりとさせる。

「ない……ですけど」

 意味が分からなかったが、とにかく答えると、羽琉矢はちょっとだけ口の端をあげた。

「結愛ってモテるんじゃない? 告白されたこと何回かあるでしょう?」

 急にどうしちゃったんだろう? 

 ショックを受けたような顔をしていたかと思ったら、今は何ごともなかったような顔で聞いてきて……

 煙に巻くような羽琉矢の態度に、何か変だと思っても、答えたくないって思っても、結局はこの人には逆らえないのだ。これ以上、嘘をつくこともできない。
 同級生だったり上級生だったり、告白は何度かされていた。結愛はこくっと頷いた。

「へえ、やっぱりね。告白されたのって一人や二人じゃないはずだよね。なんでつき合わなかったの?」

 どうしてわかるんだろう? 
 確かに、中、高合わせれば七、八人くらいはいたと思う。数えていたわけじゃないから、よく分からないけど。

「なんでって言われても、なんとなくピンと来なくて」

「ピンとね。それじゃ、冷たく断っていたんだ? 振られたやつって傷ついただろうな」

 えっ! 結愛の顔に動揺が走る。

「そんな……冷たくなんて、していない」

 そんなはずはない。過去を思い出して考えてみても、傷つくようなことを言った覚えはなかった。

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