隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「そんな……」

「ねえ、もう一度、味あわせて?」

「ダメ」

 結愛はねだるように、妖艶な笑みで近づいてくる唇を手で塞いで阻止した。

 このくらいの抵抗は何でもない。羽琉矢は結愛の手首を握ると自分の口から引き剥がして、ソファに縫いとめるように指を絡めてそっと押し付けた。

「どうしてダメなの?」

 見下ろすように結愛を見れば微かに震えている。狙われた獲物のように怯える姿に、羽琉矢の中の嗜虐心が顔を出す。

「……初めて……なの。だから……」

 もうこれ以上は許してほしい、そういう意味を込めて言ったつもりだった。雄を感じさせる情欲に濡れた唇で性急に責め立てられたら……心が、体がついていかない。もうちょっと、待って。言葉に出来ない思いを瞳に乗せる。 

 目元を薄っすらと赤く染めて、躊躇いがちの告白に、羽琉矢はすぅと目を細めた。

「そっか。そうだね」

 同意するような彼の返事に、自分の気持ちをわかってくれたとホッとした結愛だったが、

「やっぱり、初めてがこの場所じゃ嫌だった? ごめんね、気づかなくて。部屋変えようか?」

 口の端を上げてニッコリと微笑んで、しれっと言い放った台詞に凍り付いてしまった。言葉が出てこない。

 初めてなのはキスで……部屋とかではなくて……そんな言い方をされたらキス以上のことが待ってるみたいだ。

 いつかはそんな関係になるかもしれないが、今はそんなことを望んでいるわけではないのに。ここまま居たらどうなるのだろう? 身の危険を感じてしまった。

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