隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「果物の桃はね、僕にはあまり美味しくなかったし、食べるならこっちの桃がいいな。凄く甘くて美味しそう」

 言ったかと思うと羽琉矢は結愛の首に顔をうずめた。舌をすぅと滑らせる。

「ああっ……やっ!」

 下から舐めあげられた舌の湿った感触にぞくりと肌が粟立った。反射的に身を捩る。

「やっぱりこっちの桃の方が甘い。僕はこっちの方が好きだな。反応もいいし。ねっ、食べさせて?」

 食べさせてって、懇願するように甘く見つめられても「どうぞ」って言えるほど、大胆な行動は持ち合わせていない。キスだけで精いっぱいだ。無理……
 結愛は返事の代わりにブンブンと首を横に振った。

「残念だなあ」

 がっかりしたように肩を落とした羽琉矢の姿に、チクリと心が痛む。失望されたんだろうか? 
 経験値のない結愛には羽琉矢を喜ばせる術は思い浮かばない。

「それじゃ、しょうがないね」

 諦めてくれたのかと思ったら、膝下に手を差し込まれ、抱え上げられた。思う間もなくリビングのドアへと近づいていく。

「えっ? どこへ……」

「寝室。ここじゃ、嫌でしょ?」

「羽琉矢さん、下ろして。わたしたち……まだ会ったばかりで、そんな……」

 この先にある出来事を想像してジタバタと抵抗を試みる。

 けれど、結愛の言葉に耳を貸す気は毛頭なく、羽琉矢はリビングを出て行った。


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