エリート社長の密かな純愛〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜



ホッとしているはずなのに、どうしてこんなに、胸の奥がざわついて、寂しいんだろう。




(ただの、気の迷い。社長が格好良すぎるから、ちょっと雰囲気に流されただけ……)






自分にそう言い聞かせるけれど、ベランダ越しに携帯に向かって指示を出す彼の姿から、どうしても目を逸らすことができなかった。


ガラス扉を一枚隔てているせいで、彼の声は低く、こもって聞こえる。



ビジネスの冷徹なトーン。


───そう思って見ていたけれど、彼の口から漏れた言葉に、私の身体は凍りついた。




「……ああ、麗華(れいか)か。めずらしいな、お前がこんな時間にかけてくるなんて」


その名前を呼んだ彼の声が、いつもよりほんの少しだけ柔らかく聞こえたのは、私の気のせいだろうか。



───"レイカ"

聞いたこともない名前。


社内の人間でも、私が知っている仕事の取引相手でもない。


彼が躊躇なく下の名前で呼び、こんな夜更けにプライベートの携帯に電話をかけてくる、特別な女性。




「今? いや、自宅だ。……別に、大した用はない。そっちは?」


親しげに、けれどプライベートな領域を許すような彼の話し方に、胸の奥が冷たい何かで満たされていく。



(やっぱり、私とは住む世界が違う人なんだ)




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