エリート社長の密かな純愛 〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
***


結局、夜中になっても彼は帰ってこなかった。


───期待を見事打ち砕かれたこともあってか、さっきまで考えないようにしていたことが次々と頭の中に浮かんでくる。




お昼休みにうっかり給湯室で耳にしてしまった、社内の噂話。


『お互いの親同士が決めた政略結婚らしいけど、相手の方もめちゃくちゃ美人で────』

──今頃、彗さんはあの綺麗な婚約者と一緒にいるのかな。




昨日の夜から二人は会う約束をしていたみたいだし、今朝だって「仲良く一緒にいるところを見た」って話している同僚がいた。


……つまり、今朝から今この瞬間に至るまで、彼は彼女とずっと一緒にいるということだ。



そう思ったら、急に胸の奥がズキリと激しく痛み出した。


そっと、あの日から少し膨らみを帯びてきたお腹に手をあてる。



一夜の過ちで、彼の子を身籠ってしまった私。

片や、誰もが羨むほど美人で、彼の隣に並んでも少しも見劣りしない完璧な婚約者。


───どちらが選ばれるかなんて、そんなの最初から決まっている。



(……私、完全に邪魔者だよね)



そう自覚した瞬間、視界が急にじわリと滲んで、今まで堪えていた涙が一気に頬を伝って落ちていった。



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