エリート社長の密かな純愛 〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
それと同時に、もう一つ、私にはやらなければいけないことがある。
私は泣き腫らした目を擦りながら立ち上がると、リビングの引き出しから、大切に隠しておいた一枚の紙を取り出した。
──『離婚届』。
いつかこの日が来るかもしれないと、心のどこかでずっと覚悟はしていた。
だけど、いざ目の前に突きつけられた現実を前にすると、胸が引き裂かれそうに痛む。
視界が涙で歪んでしまわないよう、何度も何度も瞬きを繰り返しながら、震える手でペンを握りしめた。
一文字、一文字。自分の名前と、現在の住所を書き進めていく。
彼と同じ苗字を名乗れるのは、これで本当に最後なんだ──。
(まあ、一度も"冴島"なんて名乗る機会、なかったんだけどね……)
自分の欄をすべて埋め終え、ぽつんと残された彼の署名欄を見つめる。
彼をあの綺麗で眩しい婚約者のもとへ、本来あるべき幸せな場所へ返してあげなきゃいけない。
───それが、身の程知らずな私にできる、せめてもの償いだ。