エリート社長の密かな純愛 〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
室内のわずかな光に照らされていたのは、こんなところに転がっているはずのない、あまりにも見覚えのあるものだった。
今の彼にはおよそ似合わない、星型のフェイク宝石がついたチープなおもちゃの指輪。
全体が細かい傷で擦れていて、宝石とリングの部分は少し曇ってしまっている。
───だけど、見間違うはずがない。
それは、私がまだ小学生だった時に、大好きだった近所のお兄ちゃんがお祭りの屋台でとってくれたものだった。
親の転勤で遠くに引越してしまう彼に「大きくなったら結婚しようね」って泣きながら渡した、世界に一つだけの宝物。
「どうして、彗さんがこれを持ってるの……?」
(嘘、でしょ……?)
───まさか、あの時のお兄ちゃんが、彗さんだったの?
頭の中が真っ白になる。
ドクン、と心臓が跳ねて、衝撃のあまりその場から一歩も動けなくなってしまった。
私のことを、一夜の過ちの相手だとしか思っていないはずの彗さん。
だけど、彼は───この部屋で一番大切なデスクの、引き出しの特等席に、あの日の思い出をずっと、今日まで大切に保管していたんだ。
(ずっと……約束、覚えててくれたの……?)