エリート社長の密かな純愛 〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
点と点が一気に繋がり、最後の1ピースがカチッとハマったその瞬間。
激しい動揺に応えるように、お腹の子がトクンと小さく跳ねたような気がした。
視界が、一気に歪む。
溢れ出た涙が、手元にあった『離婚届』の文字の上に、ポタポタと冷たく染みを作っていく────……。
そのときだった。
バタン、と静まり返った家の中に、玄関のドアが開く音が響き渡った。
───そして。
「……森下?何してるんだ?」
静まり返った書斎の空気を切り裂くように、低い声が響いた。
思わず心臓が跳ね上がる。
振り返ると、ネクタイを少し緩めた姿の彗さんが、ドアの前に立っていた。
私の手元───キラリと月の光を反射して光る、おもちゃの指輪。
それを目にした瞬間、彗さんの切れ長の目が微かに見開かれ、息を呑む音が聞こえた。
「……見つかったか」
その声は、会社で見せる、完全無欠な冷徹なトーンではなかった。
どこか諦めたような、それでいてひどく掠れた、優しい響き。
「彗、さん……」
私の声は、情けないほど震えていた。
手の中にあるおもちゃの指輪が、視界の涙で歪んで滲む。
「これ……私が昔、近所の男の子にもらったやつなんです。なのに、なんで……なんで、"冴島社長"の引き出しに、これがあるんですか……っ」
一歩、彗さんが近づいてくる。
彼の歩く音が、私の張り詰めた鼓動と重なる。
彼は観念したように短く息を吐くと、自嘲気味に、だけど酷く愛おしそうに口元を歪めた。