エリート社長の密かな純愛 〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
突き放してしまった罪悪感と、慧さんに嘘をつかれているという事実に、視界が涙で歪んでいく。
「……どうした? 」
慧さんは怒るどころか、ひどく傷ついたような、それでも私を心配するような優しい声で問いかけてくる。
───その優しさが、今は余計に苦しかった。
(なんで、今さら……っ……)
「……だって、社長には婚約者がいるじゃないですか…っ……」
一歩、今度は私が後ろに下がる。
彗さんの顔が見えなくなるほど、涙が溢れて止まらない。
「私を騙して、お腹に子供ができたからって義務感で優しくして……! 会社の人が言ってました。社長にはもう、お家柄の合う、綺麗な人がいるって……!」
私の叫びに、彗さんの身体がピキリと強張る。
「昨日も、その婚約者の人と一緒にいたんでしょう……? 隠さなくても、全部わかってますから……。」
言い訳なんて聞きたくない。
これ以上、優しくされて期待して、後から絶望するなんて耐えられない。
溢れ出す涙を手の甲で何度も拭いながら、私は一気にまくしたてた。
「幼馴染だってことは……認めます。でも、あれからもう、十年以上も経ってるんです……!」
楽しかった子供の頃とは、お互いにもう違う。
彼は立派な会社の社長で、私はただの地味な社員で、おまけに───。