エリート社長の密かな純愛〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
「……お前、弁償する気あるのか?」
「は、はい……っ! 私の給料で払える範囲なら、何ヶ月かかっても必ず……!」
「……なら、ついて来い。ここで脱ぐわけにいかないだろ」
「───え?」
と間抜けな声を上げる私を置き去りにして、社長はクローゼットから出した上着を羽織ると、私の手首を強い力でガッチリと掴んだ。
そのまま地下駐車場へと連行され、気がつけば彼の高級外車の助手席に乗せられていた。
『シャツのクリーニング代の代わりに、俺の家で汚れた服を洗え。ついでに、コーヒーを淹れ直せ』
移動中の車中、冷徹な横顔のままそう告げられ、連れて行かれたのは息を呑むようなタワーマンションの一室だった。
慣れないラグジュアリーな空間の真ん中で、私は置物のようにガチガチに硬直していた。
そんな私をソファに放り込むと、社長はキッチンからグラスをふたつとボトルを持って戻ってきた。
「お前は、どれだけドジなんだ。転んでカップの中溢すとか……そんな醜態晒すなんて大人として恥ずかしくないのか?」
「うっ……本当におっしゃる通りで……」
容赦なくグサグサと心に刺さる悪口に、今すぐにでも退場したくなる気持ちを抑えて、緊張に手を震わせながらもグラスを満たす。
(社長が言っていることはちゃんと全部正論なんだよ。……正論、なんだけど…………)
今は、今だけは手元に集中しなければ。
───ここでミスったら、間違いなく後がない。
(え、待って、もしかして少しでもあふれさせたら明日から無職? クビ!?)
最悪の結末が脳裏をよぎり、パニックになりそうな頭を必死に抑えつけながら、私はミリ単位のコントロールでボトルを傾け続けた。