親愛なる魔王の君へ〜The Ordeal〜
「私を選んでいただければ嬉しいです」

アナスタシアはそう言ったものの、ルーチェの瞳には最初から一人の人物しか映っていない。ルーチェは拳を握り締めた。

「そんなこと言われても……。僕は、クラルに側近になってほしい……」

「ルーチェ様……」

クラルの赤い瞳が見開かれる。ルーチェはクラルの大きな手を取った。手に触れた瞬間、互いの頰が赤く染まる。

「ダメ?」

「い、いえ。決して嫌では……」

その様子を見ていたルカが大きく咳払いをした。

「クラルとアナスタシア。どちらがルーチェの側近に相応しいか、勝負を行おう」

突然の宣言に、ルーチェはまた戸惑う。しかし、隣に立つクラルの表情は冷静そのものだった。

「どんな試練にも耐えてみせます!」

そう真剣な顔で言うクラルを嘲笑うかのように、アナスタシアが「どこまで持つか見ものじゃな」と笑う。こうして、試練が幕を開けたのだった。






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