親愛なる魔王の君へ〜The Ordeal〜
「剣より魔法の方が早いぞ」

アナスタシアはクラルに向かって小馬鹿にしたように笑う。ルーチェは拳を握り締め、黙ってアナスタシアを睨み付けた。



迷路は複雑でルカの言う通り、様々な罠が仕掛けられていた。モンスターもあちこちに放されており、油断はできない。

「ルーチェ様!」

クラルがルーチェの手を引く。自然と距離が近くなった。ルーチェの顔が赤く染まる。

(うわ、近い……)

刹那、ルーチェの背後で風を切る音がする。ルーチェが振り返れば、先ほどまでルーチェが立っていたところに弓矢が刺さっている。

「クラル、ありがとう」

「いいえ。守るのが僕の使命ですから」

クラルは安心したように微笑む。ルーチェが胸の高鳴りを感じていると、モンスターを倒したアナスタシアが呆れた様子で口を開く。

「お前、効率が悪いな。防御魔法を常にルーチェ様にかけておけばモンスターも罠も防ぐことができるというのに。……何故あの時父親や母親のように仕留めることができなかったのか、不思議だな」
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