親愛なる魔王の君へ〜The Ordeal〜
君命です
あの試練から数日後。ルーチェはため息を吐きながら大鍋をかき混ぜていた。八咫烏とイズナがルーチェに言う。

『主人。鍋をかき混ぜすぎでは?』

『その薬はかき混ぜすぎると失敗しますよ』

「大丈夫だよ」

ルーチェはそう言ったものの、鍋の中身が変色し始める。八咫烏が『失敗ですね』と鍋を覗き込んで言った。ルーチェはかき混ぜるのをやめ、ベッドに寝転がる。またため息が口から出た。

『主人、元気がありませんね』

イズナがルーチェの顔を見つめる。ルーチェは服を握り締め、口を開く。

「だって、クラルの試練がめちゃくちゃになっちゃったから」

ルーチェはあの日のことを思い返す。アナスタシアは強かった。複雑かつ高度な魔法を連続で放ち、ルーチェを守りながら戦うクラルは徐々に疲弊していった。このままではクラルが危ないと判断し、ルーチェは魔法を使ったのだ。

ルーチェが杖から魔法を放った刹那、生け垣の迷路が崩落した。ルーチェが魔法を放つと試練は失格とされ、迷路は消えてしまうようになっていたのだ。
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