親愛なる魔王の君へ〜The Ordeal〜
「兄さん!うん。そうしようかな。イズナ、またあとで練習するね」

『かしこまりました。主人』

イズナに背を向け、ルーチェはビオラと共に屋敷を出る。クロウディア家の屋敷の周りは森や川など自然豊かだ。

「風が、気持ちいい〜」

ルーチェは目を細めた。どこか甘い香りのする風が、ルーチェとビオラの髪を撫でていく。ビオラが「ルーチェ、あれ見て!」と指差した。紫と金色の花が咲いているのが見える。

「あれ、ラズリの花だよ。あの花の蜜を使うと、強力な魔法薬や武器が作れるんだって」

「そんなに珍しいものなの?蜜、採取してみようかな」

ルーチェは花に近付いていく。すると、緑一面の地面に黒いものが落ちていることに気付いた。人の足である。

「えっ!?だ、大丈夫ですか!?」

人が倒れていた。ルーチェより年上と思われる男性が倒れている。ルーチェは男性の体を軽く叩いてみる。反応はない。

「ルーチェ?どうしたの?」

「兄さん!人が倒れてて!」
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