親愛なる魔王の君へ〜The Ordeal〜
「ここは……?君は誰……?」

ルーチェを男性が見つめる。ルーチェの顔に熱が集まっていくのがわかった。ルーチェは慌ててベッドから離れる。

「父さんたちを呼んでくるので、ちょっと待っててください!!」

緊張のせいか、ルーチェの声は上擦ってしまった。恥ずかしさを誤魔化すように、ルーチェは慌てて部屋を飛び出す。

(あんなに綺麗な人、初めて見た……)

初めて見た時からルーチェが抱いていた想いが、心から溢れ出した。



ルーチェは夕食を食べていたルカとエレナ、そしてビオラに顔を真っ赤にしながら男性が目を覚ましたことを告げ、全員で男性のいる部屋に戻った。

「君の名前を教えてくれないか?」

ルカの問いかけに対し、男性はベッドから体を起こして答えた。

「僕は、クラル。クラル・ディスペアです」

「ディスペアって魔王の……」

ルカの目が見開かれる。クラルは暗い表情で言った。

「実は、屋敷がモンスターたちによる襲撃を受けたんです。戦ったのですが、家は滅ぼされてしまって……」
< 5 / 22 >

この作品をシェア

pagetop