親愛なる魔王の君へ〜The Ordeal〜
クラルの顔が俯いていく。魔王であるクロードと側近であるノアはその襲撃によって命を落とし、クラルは深手を負ったものの、逃げ出すことができたのだという。

「助かってしまったけど、僕はこれからどうすれば……」

クラルの手元に雫が落ちていく。ルーチェはクラルに駆け寄り、その手に触れた。クラルの手は、ルーチェよりも少し大きい。

「泣かないでください。僕、そばにいますから」

「あなた。部屋は余ってるわ」

エレナがルカに言う。黙って何かを考え込んでいた様子のルカは、大きく頷いた。

「……わかった。クラル、うちにいなさい。ルーチェも君に懐いているようだから」

「ありがとうございます……!」

クラルが顔を上げる。その目には涙があったものの、安堵の笑みがあった。ルーチェはクラルの手を強く握り締める。

「よかったですね。クラルさん!」

「はい!」

ルーチェの家族に、新しい名前が刻まれた瞬間だった。





< 6 / 22 >

この作品をシェア

pagetop