左は陽くん、右は蓮くん。

2.もう、子供じゃない

陽は何かを思い出したかのように、手を叩く。私は陽を見て首を傾けた。
「蓮がどこに行ったか、心当たりあるの?」
「あー。うんー。多分ー」
陽の手が触れて、そのまま私の手を握る。
陽の手が大きくて、私の手を包み込むから変な気分になってしまう。
幼馴染なのに、意識してしまう私はおかしい。
「こっちー」
陽に手を引かれ着いて行くと、工場っぽい廃墟が現れる。
陽はそこを指差した。
「え、ここ?」
敷地内に足を踏み入れる。建物の裏側に移動すると、カメラを構えた蓮の姿が見えた。
蓮のこんな表情知らない——
カメラのシャッター音だけが、定期的に響く。
気付けば、蓮から目が離せなくなっていた。
カメラを構えた蓮は、真剣な表情でレンズ越しの世界を見ていて、こちらには気付かない。なのに、声を掛ける事すら出来ない。
まるで、時間が止まったみたいだ。
どれくらいの時間、こうしていただろう。
蓮がカメラを降ろした瞬間、陽が手を軽く振った。
「れーんー!」
「……いつから、居たの?」
陽は、蓮の元に走り寄ると腕を肩にまわす。
「ずっーと、見てたー」
「はっ?」
陽は蓮に顔を近付けると、屈託なく笑う。
「まぁー、まぁー」
陽は蓮のほっぺを押した。
「じゃあー、蓮先生にー俺と莉央の写真頼みたいんだけどー。いーいー?」
そう言うと、蓮から離れて私の横に移動した陽。私の肩に軽く手を置くと、蓮に向かってピースをした。
蓮は真っ直ぐにこっちを見ると、口を開く。
「……俺、人間は撮らない」
「えー!どーいう事ーぉ?」
「動物とか景色が好きなんだ」
「……そっかあー。 まあ、気ぃ向いたらー撮ってよー」
蓮は荷物を持つと、建物の中に入っていく。
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