グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公
「これを・・・やる」

男の視線の先、その手には、マントの止め金具がある。

投げ捨てるように、クレルの方に放り出した。

美しい金の細かい細工、何かの紋章をかたどった模様が刻印され、陽の光できらめいている。

「ありがとうございます」

クレルは、恐る恐る止め金具をつかんだ。

困った時にどこかで売れば、いくらかにはなるだろう。

それから、もう一度、男の顔を見た。

20代後半か、30代前半で、青年というには、年齢がいっているが、壮年というには早い。

どこかの裕福な商人か、貴族か・・・育ちの良さと気品を感じさせる。

鼻筋が通り、やや広めの額は理知的だ。

髪は漆黒だが、軽くくせ毛になっている部分がある。

子どもの時はきっとクルクルの巻き毛で、天使のようにかわいかったのだろうか。

幼い子供たちが、神殿の命名の儀式の時に、神妙な顔で、どんぐりのように並んで座っていた姿を思い出してしまった。

別の生き方を・・・そして、いつかまた、神殿の希望をつなぎなさい。

副校長の最後の言葉が、胸に響いた。

それが父の意志ならば、これから、どうなるのかわからないが、ぐずぐずはしていられない。


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