グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公
クレルの母
クレルの母は肖像画の名手であり、祖父は風景画で有名な画家だった。
母がイーゼルの前で、ジンジャークッキーを口にくわえて、絵筆を動かし、その足元でクレルも絵を描いて育った。
「ね、クレルの描いた絵を見せて?」
母のはずんだ声がする。
「神殿のお馬さんを描いたのね。すっごく上手だわ。動物画家の才能があるのね」
カーン、カーン、カーン
神殿の祈りの鐘が鳴ると、母は絵筆を置いた。
貧しい女、子ども、病気の人たちにスープやパンを配る準備をするためだ。
祈りの時間が終わると、裏庭に人々が集まりはじめる。
皆それぞれが、スープを入れる空の器を持って、こどものはしゃぐ声も聞こえる。
母は、手伝いの女たちに指示をして・・・
カーン、カーン、カーン
教会の尖塔の鐘の音で、クレルは目が覚めた。
母との・・・もうずいぶんと前に亡くなった母の夢。
クレルは起き上がり、目をこすった。
東の空には宵の明星、街はランタンの明かりが灯りはじめ、その光に、吸い寄せられる虫のような気分で歩き始めた。
何も考えず、ひたすら歩いた。
空腹だった。