グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公
教会の尖塔の下にたどりついたのは、夜の祈りの会が終了した時だった。
人々がカンテラを手に、中央の大きな扉からどんどん出て行く。
最後の一人が出て、修道女が扉を閉めようとした時、クレルは扉の前に飛び出した。
「あの、食べ物を・・何か仕事をします」
口が渇いて、うまくしゃべれない。
濃いグレーのベールで髪をおおった修道女は、年配の人だった。
「物乞いですか?あっちにおいきなさい。ここは違います」
「物乞いではありません!仕事をください!働きます!」
泥だらけの顔、衣服、手足・・誰が見てもそう見えるだろう。
年配の修道女は腰に手を当て、小首をかしげていたが、真剣な訴えに、心を動かされたのか
「残り物だけれども、パンをあげるから、待っていなさい」
そう言って、すぐに立ち去った。
しばらくして、パンの切れ端を二切れ、紙に包んで持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
クレルは、深々と頭を下げた。
修道女が扉を閉めると、暗闇の中でパンにかぶりついた。
涙は出ない。パンは薄い塩味だ。
食べ終わると、教会の裏庭に通じる、石組の塀の隙間を見つけて入り込んだ。
井戸があり、水を飲んでから、手と足を洗った。
暗い中見回すと、道具置き場の小屋の戸が半開きになっていて、月の光で中に農機具や掃除道具が立てかけてあるのが見える。
クレルは窓をおおっていた布をはずしてくるまり、泥だらけの床板に丸くなり目を閉じた。
この先、どう生きるのか?
いや、どうなるのか?
明日、何をするのか?
もらったパンの代価となる仕事、自分に何ができるのか、考えているうちに眠りに落ちた。