グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公
リーフェスト公の館
荷馬車は、石畳の街を抜けて郊外に出て、雑木林をいくつか抜けると、小高い丘がある。
そこに小さいが、木々に囲まれた2階建ての美しい館が見えた。
白い石造りの壁に、青々とツタがからまって、中央に玄関、左右に両翼が連なる館。
小さいながらも、格式の高いお屋敷のように見えた。
「あれがリーフェスト公様のお屋敷だよ。建物は小さいけど、敷地は広い」
御者は、門の手前で荷馬車を止めた。
「ここからは、歩いて行きな。
リーフェスト公様の番犬には注意するんだよ。恐ろしいからな」
それだけ言うと、クレルをおろして、馬車を発進させた。
大きな両開きのアイアンワークの門。
つる草がからまる模様が美しいが、王家の紋章がついていない。
王族の領地なのに、門番もなくひっそりとしている。
リーフェスト公様は・・・・
現国王の兄にあたる方だが、病気を理由に、弟に地位を譲って隠遁(いんとん)生活をしている。
本来なら、王位につく人なのだが・・・
そんな話を、御者はポツポツ語った。
クレルは重い門を、体がすり抜けられるくらい開けて、中に入った。
館まで一本道だが、ところどころ、カーブをしているので、植え込みで見通しは悪い。
きょろきょろしながらも、進んで行った。
そこは、深い森の中、木の香り、土の匂い、鳥たちのさえずり。
小川もあるのだろう・・・水音が絶え間なく聞こえる。
ところどころ、白や紫の小花があふれるように咲き、蝶が飛び交っていた。