グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公

リーフェスト公の弱点



あれから、クレルはリーフェスト公と、できるだけ顔を合わさないように厨房や馬屋の仕事を手伝っていた。

今日、メリッサが、お昼から2時間ほど自由にしていいと言ってくれたのだ。

エプロンのポケットには炭のかけらと、書き損じの紙が数枚、きちんとしわを伸ばしてたたんである。

執務室の掃除に入った時、選んでおいたもので、執事のハルトさんの許可はもらった。

クレルは館の雑木林を目指して、ゆっくり歩きながら、考えていた。

クレルの目から見ても、リーフェスト公は読書家であったし、王宮関係の多くの書類に目を通して、法律や条令の添削を行っていた。

父のサンサザール神官のように、勤勉な人間のようにも見えたのだが・・・

そうは見せないように、巧みに演じているようにも思える。

なぜ、あの女の人たちに、自分をおとしめるような噂を流させるのか・・・

リーフェスト公が王座につけば、よい君主になるとメリッサたちがよく言っていたのに。

クレルは唇に指を当てた。

あの出来事は、クレルの心に<ゆらぎ>をもたらしていた。

使用人たちがするリーフェスト公の噂話は、つい、聞き耳を立ててしまうのだ。

クレルは邪念を振り払うかのように、首を振った。

貴重な休み時間だ。

グリフォンを、時間をかけてじっくり描きたいと思ってここに来たのだ。

湧き水の近く、クレルは大きな木の幹にもたれかかって、ポケットから紙を出した。

紙の下に、流麗な書体の署名があるのに気が付いた。

ラファエル・リーフェスト

ラファエル・・・大天使の名前。

悪魔を退治するために、天使の軍団を率いる。

クレルは、教会にあった天使たちの彫刻を思い出した。

もし、私が描くとしたら、クレルは目を細めた。

煌めくエメラルドグリーンの瞳、漆黒の髪をなびかせて、黄金の長剣を携え、漆黒の翼を持つペガサスを駆る雄姿。

黄金の長剣の先端から、雷(いかづち)を繰り出し、悪魔を退治するのだ。

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