グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公
そう言いながら、いつもやっているグリフォンと同じように、軽くポンポンと頭を叩いてしまった。

やばっ・・・!!あわててベッドから飛びのいた。

「そうか、それならいい」

リーフェスト公は、ようやっと上半身を起こした。

クレルは、すぐに目をそらせた。

リーフェスト公は裸であったが、よく鍛えられている。

均整が取れて、美しいギリシア彫刻のようだと、判断した。

母がよく言っていた。

祖父のアトリエで、裸体彫刻のデッサンをしていた時のことだ。

「ちゃんと、筋肉のつきかたや動き方を観察すること。
絵を描く基礎だから」

思い出して、クレルの手が止まっていた。

「お茶をくれ」

リーフェスト公は、ベッド脇の椅子にひっかけた濃い紫のガウンを引き寄せまとった。

「はい。・・・どうぞ」

ティーカップとソーサーを、こぼさないように慎重に渡した。

「これから、朝はお前がやるんだ」

リーフェスト公はお茶を一口飲むと、事務的に言った。

「わかりました」

毎日、頭を確認しろって事か・・・相当、気にしているのね。

クレルはお茶のセットを下げようとした時、テーブルに、あの聖典が無造作に置かれていたのに気がついた。

父の聖典!

ひゅっとのどが鳴りそうになり、思わず口を押えた。

ここにあったのか・・・

「失礼いたします」

クレルは丁寧に頭をさげて、トレーを持ち退出した。

廊下に出ると、そのままズルズルとしゃがみ込んだ。

いつか、見る事ができる、そのチャンスが、ここにいればある。

オーギュスト・サンサザールの聖典。

神殿のあの幸福な日々。

母の笑顔と父の微笑みと・・・廊下のカーテンの影にしゃがみこみ、涙をぬぐった。
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