グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公
マリウスは、その話題にはさほど興味がないようで

「有名な画家ですからね。
王宮の所蔵庫に数点あるのでは?学芸担当の者に聞けばわかるでしょう。

それより、今回は神殿の問題なのですが」

リーフェスト公は、机の引き出しから書類の束を取り出した。

「領主たちからは、今年の麦の収穫がよくないと聞いている。
神殿の借地料の負担が大きく、不満を口にする者が多いようだ」

「そうなのです。
領主たちは結束して、最高神官が出てこないのをチャンスととらえ、神殿の土地所有権をうやむやにしようと画策しているらしくて・・」

リーフェスト公が、何枚かの書類を机の上に置いた。

「新しい神官が、就任するらしいと聞いたが?」

カタン

クレルが、紅茶のポットをテーブルに置いた。

手が震えそうになっていたからだ。

「失礼いたします」

クレルは頭を下げて、足早に部屋から出ると、扉の隙間をわずかに開けるように閉めた。

廊下に出ると、すぐに耳を隙間につけた。

マリウスが、話を続けていた。

「そのようですが・・ボヤ騒ぎもあったし。
複数の候補がいるのなら、神官会議で最終決定をするのでしょう」

リーフェスト公の声は、低いがよく響く。

「最高神官のサンサザールは、毒殺されたのではないかと、聞くが・・・」

ふうっ・・・・クレルの呼吸が止まった。

父が毒殺された?!

なぜ!どうして!!

あの時は、誰もが突然の心臓発作と言っていたのに。

目の前がぐにゃりと歪んで、薄暗くなった。

すぐにここから立ち去らなくてはならないのに、足がしびれたように動かない・・・・

ワンワン

グリフォンの吠える声が、遠くでする。

クレルは壁に背中をあてて、頭を抱えてずるずると座り込んだ。
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