グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公
クレルは温かいグリフォンの頭をなでた。

グリフォンは、私の武器なんだ。

「犬笛は持っていろ。まだ返さなくていい」

リーフェスト公は、チラリとグリフォンの首輪に下がっている犬笛を見た。

この人は、敵なのか、味方なのか、それとも、私を利用しようとしているのか。

クレルは顔をマントに埋めて、考えていた。

月桂樹の香り、それと煙をいぶしたような匂い。野営で使ったものなのか。

「あと、これを食べておけ」

リーフェスト公はクレルの膝の上にポンと、ナプキンで包んだものを投げてよこした。

「ありがとうございます」

クレルがその包みを開くと、甘いジンジャーの匂いが鼻腔をくすぐる。

ジンジャービスケットが、数枚入っていた。

その甘く、香ばしい、少しスパイシーな香り。

もうダメだった。

感情の結界が破壊されてしまった。

クレルの幸福な子ども時代の記憶が、渦を巻いてグルグルとほどけていく。

それは、午後のひと時。

明るい陽射しの差し込む祖父のアトリエ。

ミルラが、ジンシャービスケットを半分に割って、幼いクレルの手に渡してくれた。

オーギュストが、紅茶のカップを片手に微笑んでいる。

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