グリフォンの恋人・神官と王族とワンコの三角関係?・クレルとリーフェスト公
あの時・・・母が亡くなって、異国の見知らぬ墓地で父にしがみついて泣いた。

雨にけぶる中、父からは神殿に立ち込める香の香りがした。

父は天を仰ぎ、私を強く抱きしめて悲しみにくれた。

女神は天界に戻ってしまったのだ。

私たちを、この世に残して・・・そう父は嘆いた。

今は・・・その腕の中は森の香りがする。

いぶした煙と革の臭い。グリフォンの臭いも混じっている。

抱きしめるというより、外界のすべてから守ってくれているよう。

クレルは大きく深呼吸すると、落ち着いてきた。

「ごめんなさい。大丈夫です」

少し顔を離そうとしたが、抱き寄せられた。

「無理もない。ずっと緊張して、張り詰めてきたのだから・・・」

耳元で、リーフェスト公の低く、かすれたような声が聞こえた。

この腕の中は、あの陽ざしに満ち溢れたアトリエのように暖かく、守られている。

ワンワンワン

グリフォンの吠える声で、クレルは現実に引き戻された。

リーフェスト公も、気まずそうに手を緩めた。

「早くしないと、陽が暮れてしまう」

言い訳のようにつぶやくと、たずなを軽くゆらし、馬を発進させた。



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