柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
最後の六月二十五日

《一》憐憫と毒

 今日も、僕は待っている。
 君はいつしか親になり、僕の最期の齢を過ぎ、誕生した子供もやがて成長して大人になった。大人になった子は結婚し、その間に子が生まれた。

 寝台に横たわる君の、皺まみれの指が見える。傍の引き出しから君がゆっくりと取り出したのは、一枚の絵馬だった。
 君を待ち始めてからどれほどの月日が経ったのか、正確には数えていない。いつまでだって待つと、最初から決めていたからだ。

 だって、指折りその日を待つなんて、それでは君の死を願っているみたいだろう?

 だから、僕は待っていた。
 君が自らそこに名を記してくれる日を、静かに待ち続けていた。
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