柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
《三》歪む雨音
明日名の身体はやわらかく、吸いつくような肌触りをしている。
どうしてか甘くも感じられ、一度触れればもう唇を離せなくなる。
そうやって、僕は毎晩彼女を貪っていた。
初めて知った女性が、気がふれそうになるほど想いを募らせている相手だということは、この上ない幸福だと思う。
息を震わせて身をよじる明日名を、今以上に愉悦の底に突き落としてやりたくなり、ほとんど手探りの僕の指には限界点を確かめるかのような妄執が宿る。
この調子で愛し合っていたら、明日名は壊れてしまうのではないか。いずれ僕なしでは生きていけなくなってしまうのではないか。
それは恐ろしい考えのはずで、だが、早く現実になってほしいと願う自分も確かにいる。
ぬくもりを知ったばかりの僕は、ただただ明日名を手放せない。隙さえあれば指を絡め、唇を合わせ、肌を重ねたくて仕方なくなる。
触れれば触れるほど、明日名は僕を魅了し、狂わせていく。けれど僕にはいまだできずにいることがあった。
肌を吸い、印を刻むことだ。滑らかな肌に、己の印を心ゆくまで散らしたい。けれど、それだけは絶対にできなかった。ひとたび痕をつけてしまえば、僕は明日名の性質から二度と目を背けられなくなるからだ。
明日名の手首の痣が、時間の経過とともに薄れていくさまを、僕は直視できずにいる。
どうしてか甘くも感じられ、一度触れればもう唇を離せなくなる。
そうやって、僕は毎晩彼女を貪っていた。
初めて知った女性が、気がふれそうになるほど想いを募らせている相手だということは、この上ない幸福だと思う。
息を震わせて身をよじる明日名を、今以上に愉悦の底に突き落としてやりたくなり、ほとんど手探りの僕の指には限界点を確かめるかのような妄執が宿る。
この調子で愛し合っていたら、明日名は壊れてしまうのではないか。いずれ僕なしでは生きていけなくなってしまうのではないか。
それは恐ろしい考えのはずで、だが、早く現実になってほしいと願う自分も確かにいる。
ぬくもりを知ったばかりの僕は、ただただ明日名を手放せない。隙さえあれば指を絡め、唇を合わせ、肌を重ねたくて仕方なくなる。
触れれば触れるほど、明日名は僕を魅了し、狂わせていく。けれど僕にはいまだできずにいることがあった。
肌を吸い、印を刻むことだ。滑らかな肌に、己の印を心ゆくまで散らしたい。けれど、それだけは絶対にできなかった。ひとたび痕をつけてしまえば、僕は明日名の性質から二度と目を背けられなくなるからだ。
明日名の手首の痣が、時間の経過とともに薄れていくさまを、僕は直視できずにいる。