柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
 この寺院が辿った末路を、僕の罪を、それらの裏に隠れた真実を知ったとしても、君は僕を受け入れてくれるだろうか。

 どうか受け入れてほしい。
 だが、仮に受け入れてもらえたとして、それでどうなるだろう。

 縛りつける? すべてを捨てさせた挙句、僕を選ばせる?
 たとえそうしたとして、僕自身は因果から逃れられない。がんじがらめの君を横目に、兄への復讐を続けていくしかない。

 なぜなら、すべてを終わらせれば、僕はその瞬間、きっと。

 少しずつ息を吹き返してきた人としての感情は、歪んだ時間を漫然と渡ってきた僕を根底から突き崩してしまう。自分の身を守りたいのか、むしろ崩されたいのか、それすらも判断がつかない。
 この人を完全に僕のものにするには、どうしたらいい。絶対にできないことを、できるようにするには、どうしたら。

 ――ああ、方法ならあるじゃないか。
 僕の得意とする方法が、たったひとつだけ。
< 169 / 185 >

この作品をシェア

pagetop