柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
 あの時間は、どうして崩れてしまったんだっけ。
 もう取り戻せないと分かっていて、どうして僕は、こんな不毛な復讐を繰り返しているんだっけ。

 あんなに仲が良かった護を苦しめて、藍まで苦しめて、僕はなにがしたいんだっけ。

 どうしたらいい。復讐をやめれば、護が敷いたこの場所の時間の歪みはすぐさま消えてなくなるだろう。そうなれば、ここは君の目にもただの廃墟に戻る。
 僕も消えていなくなる。自らここに閉じ込められることを選んでおよそ百二十年、それ以前に生きた二十五年あまりの時間。それほどの時を、同じ姿のままで生き長らえられる人間なんているはずがない。

 歪みが消えた時間の先を、僕は生きられない。
 つまり、僕は君を手放さなければならなくなる。結局はそれこそが怖いのだ、僕は。

 君と離ればなれになるなんて、そんなのは嫌だ。
 ……嫌だ。
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