柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
ひとり暮らしをしていた頃は頻繁に手を抜いていたから、真面目に作ろうと思えば思うほど途方に暮れた。けれど考えてみれば、ここでは家事や食事の支度こそ私に与えられた仕事だ。外で働き、疲れて帰宅してから台所に立つわけではない。
住職さまも気を遣ってくれているようで、簡単なものでいいから、と何度も言われていた。
とはいえ、今では私にも余裕ができている。
住職さまが食事を抜きがちだという話を聞いてからは、できるだけ栄養バランスの良い食事を取ってもらいたいと思える程度には。
寺院の近くに、病院や個人クリニックはない。加えて、車が通れない道の奥にあるこの場所には、救急車を呼ぼうにも道が細すぎて入ってこられない。そもそも電話がないから一一九番通報ができない。その事実に思い至ったときは背筋が冷えた。
病気や怪我をしたとき、住職さまは今までどうやって切り抜けていたのだろう。自力で麓まで歩いていたのかもしれない。私自身も、ここにいる間は体調に十分気をつけなければと肝に銘じている。
それはさておき、今日の夕飯は住職さまの好みに合わせて作った。
甘めに仕上げたオムレツと里芋の煮物、葉物のお吸いもの。あとは、昼に作りすぎてしまった副菜が少々。
冷蔵庫がない上にこの季節だ。なるべく残らない分量で作ろうとはしているけれど、ときどき目測を見誤ってしまう。そういうときは、残ったものを台所の手前の冷暗所に置いておくと良いと聞いた。その日に作ったものくらいなら大丈夫らしい。
直接教えてもらったわけではないけれど、住職さまは和食を好んでいる。
中でも玉子料理が好きらしい。数日前、普通の厚焼き玉子ではなく少しアレンジしてオムレツ風に仕上げてみた。そのときものすごく新鮮そうに、かつ美味しそうに頬張ってくれたから、今日また作ってみた。
住職さまも気を遣ってくれているようで、簡単なものでいいから、と何度も言われていた。
とはいえ、今では私にも余裕ができている。
住職さまが食事を抜きがちだという話を聞いてからは、できるだけ栄養バランスの良い食事を取ってもらいたいと思える程度には。
寺院の近くに、病院や個人クリニックはない。加えて、車が通れない道の奥にあるこの場所には、救急車を呼ぼうにも道が細すぎて入ってこられない。そもそも電話がないから一一九番通報ができない。その事実に思い至ったときは背筋が冷えた。
病気や怪我をしたとき、住職さまは今までどうやって切り抜けていたのだろう。自力で麓まで歩いていたのかもしれない。私自身も、ここにいる間は体調に十分気をつけなければと肝に銘じている。
それはさておき、今日の夕飯は住職さまの好みに合わせて作った。
甘めに仕上げたオムレツと里芋の煮物、葉物のお吸いもの。あとは、昼に作りすぎてしまった副菜が少々。
冷蔵庫がない上にこの季節だ。なるべく残らない分量で作ろうとはしているけれど、ときどき目測を見誤ってしまう。そういうときは、残ったものを台所の手前の冷暗所に置いておくと良いと聞いた。その日に作ったものくらいなら大丈夫らしい。
直接教えてもらったわけではないけれど、住職さまは和食を好んでいる。
中でも玉子料理が好きらしい。数日前、普通の厚焼き玉子ではなく少しアレンジしてオムレツ風に仕上げてみた。そのときものすごく新鮮そうに、かつ美味しそうに頬張ってくれたから、今日また作ってみた。