柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
 とにかく、私は兄の力になりたかった。
 特異な髪色と双眸を持って生まれた私は、生まれた直後から父に忌み嫌われていた。そのせいで、私は幼い頃より父から暴言や暴力を浴びてきた。その都度、間に入って私を庇ってくれたのは兄だ。

 兄のために、できる限りのことを。
 当時の私は、幼いながらも心からそう願っていた。十八になる頃には、薬学に関する専門知識の大半を身につけられていた。

 それなのに。

 継承者の変更は、私たち双子の運命を大きく変えてしまった。
 兄はそれまでに受けた薫陶のすべてを無に帰すこととなり、また、私は私で兄を支えようと願ったその思いごと否定される形となった。

 ふたり揃ってなにもかもを狂わされ、私はひどく戸惑った。
 そして、兄は静かに壊れ始めていた。
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