柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
     *


 四年の歳月が過ぎた。

 死後婚の儀が正しく執り行われたかどうかを悟れるのは、彼岸と此岸の境界線を覗く能力を持つ者のみ。
 逆に、禁忌を犯して人を殺める場合、その結果は誰の目にも明らかだ。
 依頼が増え続ける禁忌の儀を、見て見ぬふりで意図的に避けていた私は、この四年で、力を持たぬ者たちから無能と蔑まれるようになっていた。

 絵馬を用いた儀のすべては、信憑性によって支えられている。死後婚の儀そのものよりも禁忌を犯して行う殺戮、そちらのほうがよほど寺院の存続と財政を支えていると知った私は、その流れを絶ちたいがために足掻き続けていた。
 しかし、死後婚の儀の成否は人の目には判断がつかない。ゆえに叩かれた。一族の老人たちの大半はろくな力を持っていない。私が死後婚の儀を恙なく執り行っている事実を、彼らは理解できない。

 禁忌の儀の中核となっている能力者は二名。その下に、さらに微弱な力を持つ者――複数で力を合わせてようやく、といった程度の者が三名いるという。
 祭祀者の管理下とは形ばかりで、その者たちの動向を取りまとめているのは重鎮のひとりだ。無論、ひとりとして母や私の意見を耳に入れない。それどころか、重鎮の連中は私を貶めるかのような言動を繰り返し、一族や檀家の者の不安を煽ってみせる。

 次期当主は能無し。
 その噂は容易に寺院内を巡り、一族の間を巡った。
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