柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
*
ひどい寒さと妙な息苦しさがあった。
ゆらゆらと眠りの淵を彷徨っていた意識が、少しずつ現実に引き戻され始める。
首元が熱い。喉の辺りになにかが当たっている気がして、掠れた息が零れる。間を置かず、傍から息を呑む音が聞こえてきた。
薄く目を開く。本当は開きたくなかったけれど、その理由が尋常ではない眠気によるものなのか、それとも別のものなのかまでは分からない。
うっすらと瞼を開いた先に、尊さんの顔が覗いた。
真っ青だ。どうしたの、顔色が悪いですよ――そう話しかけたかったのに、やはり声は喉を通らない。それが、尊さんが私に馬乗りになり、両手で喉を押さえつけているせいだと理解したのは、掠れた吐息が再び零れた後。
押さえつけている……違う。
絞めつけている。私の首を、尊さんが。
「あ、たける、さ、」
声は低く潰れ、不明瞭な音にしかならなかった。
真上から首に伸びてきた腕へ、堪らずしがみつく。尊さんは、絞り出した私の声にというよりは、腕に感じた私の指の感触に反応したらしかった。
憑きものが落ちたような顔で、彼は慌てて私の首から手を放した。そして、あ、と低い呟きを落とした後、音がしそうなほどガタガタと震えながら私を抱き締めてくる。
拒んでもおかしくなかった。それくらいのことをされた。けれど、彼の腕を振り払うなんて私にはできなかった。
広い背中に手を伸ばしてゆっくり擦ると、乱れきっていた彼の呼吸は次第に落ち着きを取り戻し始める。深く息を吸っては吐く、それを幾度か繰り返した後、やがて尊さんは震えた吐息に織り交ぜるように声を落とした。
ひどい寒さと妙な息苦しさがあった。
ゆらゆらと眠りの淵を彷徨っていた意識が、少しずつ現実に引き戻され始める。
首元が熱い。喉の辺りになにかが当たっている気がして、掠れた息が零れる。間を置かず、傍から息を呑む音が聞こえてきた。
薄く目を開く。本当は開きたくなかったけれど、その理由が尋常ではない眠気によるものなのか、それとも別のものなのかまでは分からない。
うっすらと瞼を開いた先に、尊さんの顔が覗いた。
真っ青だ。どうしたの、顔色が悪いですよ――そう話しかけたかったのに、やはり声は喉を通らない。それが、尊さんが私に馬乗りになり、両手で喉を押さえつけているせいだと理解したのは、掠れた吐息が再び零れた後。
押さえつけている……違う。
絞めつけている。私の首を、尊さんが。
「あ、たける、さ、」
声は低く潰れ、不明瞭な音にしかならなかった。
真上から首に伸びてきた腕へ、堪らずしがみつく。尊さんは、絞り出した私の声にというよりは、腕に感じた私の指の感触に反応したらしかった。
憑きものが落ちたような顔で、彼は慌てて私の首から手を放した。そして、あ、と低い呟きを落とした後、音がしそうなほどガタガタと震えながら私を抱き締めてくる。
拒んでもおかしくなかった。それくらいのことをされた。けれど、彼の腕を振り払うなんて私にはできなかった。
広い背中に手を伸ばしてゆっくり擦ると、乱れきっていた彼の呼吸は次第に落ち着きを取り戻し始める。深く息を吸っては吐く、それを幾度か繰り返した後、やがて尊さんは震えた吐息に織り交ぜるように声を落とした。