柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
「ふふ、のんびり温泉旅行に行くのも楽しそうだなぁ。貸し切りの露天風呂にね、ゆっくり浸かりながら景色を眺めるの。紅葉とか……ああ、雪景色なんかもいいかも。私が生まれた町にも温泉があるんだよ」
無駄に饒舌になってしまう。
眩暈に揺れる頭は霞がかかったような状態なのに、話す声はそれには比例しないらしい。普段よりもワントーン高い自分の声を少しだけ遠くに聞きながら、私は喋り続けた。
部屋に戻り、ふたりで布団に横たわる。
髪を撫でる長い指の感触に、ふふ、とまた声をあげて笑う。
「明日名が生まれた町か。行ってみたいな」
「うん。じゃあ最初はそうしようか」
「分かった。それとさっき言ってた露天風呂って、ちゃんと明日名と一緒に入れるの?」
「ちょっと、またそんなことばっかり言って……」
軽口を叩いてはくすくすと笑い合う。
あと何日、こんなふうに他愛もない話を続けられるだろう。あと何度、こうやって慈しむように触れてもらえるだろう。
どうか、終わりなんて来ないでほしい。
愛しい人の指が髪を梳く感触を噛み締め、私は静かに目を閉じた。
無駄に饒舌になってしまう。
眩暈に揺れる頭は霞がかかったような状態なのに、話す声はそれには比例しないらしい。普段よりもワントーン高い自分の声を少しだけ遠くに聞きながら、私は喋り続けた。
部屋に戻り、ふたりで布団に横たわる。
髪を撫でる長い指の感触に、ふふ、とまた声をあげて笑う。
「明日名が生まれた町か。行ってみたいな」
「うん。じゃあ最初はそうしようか」
「分かった。それとさっき言ってた露天風呂って、ちゃんと明日名と一緒に入れるの?」
「ちょっと、またそんなことばっかり言って……」
軽口を叩いてはくすくすと笑い合う。
あと何日、こんなふうに他愛もない話を続けられるだろう。あと何度、こうやって慈しむように触れてもらえるだろう。
どうか、終わりなんて来ないでほしい。
愛しい人の指が髪を梳く感触を噛み締め、私は静かに目を閉じた。