柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
*
……まただ。
本堂まで延びる廊下を進む途中、強い眩暈に襲われ、私は足元をよろめかせた。
縁側で彼と語り合った日から三日、いや、四日が過ぎただろうか。
今日の眩暈はいつもよりひどい。雨の音と耳鳴りが重なり、気分の悪さは次第に吐き気へと変化していく。
それは、十代の頃から私を苛み続けている貧血の症状によく似ていた。
けれど、それとは決定的に違う気もする。そういえば、生理中にもこうなることがあった……生理中にも。
前に生理が来たのは、いつだった?
浮かんだ自問に、ぎり、と心臓が軋んだ。
途端に震え出した指先を、もう片方の手で無理やり押さえつける。ぐるぐると視界が回り、ついに立っていられなくなった私は、廊下の端で自分の身体を抱き締めるように蹲った。
大丈夫。尊さんだってそう言っていた。
ここでは時間が経っていなくて、同じ一日を繰り返しているだけ。生理なんて、ここにいる限りは来ないのかもしれない。
――違う。
う、と呻きが零れた。
もう無理だ。どれもこれも、いつまでもごまかし続けていられるわけがない。
『孕んでくれればいいのに』
『ここではそんなこと、絶対に叶わないけど』
ねぇ尊さん。もしかしたら、私。
震える指で下腹に触れると、乱れた呼吸が少しずつ落ち着いていく。
……まただ。
本堂まで延びる廊下を進む途中、強い眩暈に襲われ、私は足元をよろめかせた。
縁側で彼と語り合った日から三日、いや、四日が過ぎただろうか。
今日の眩暈はいつもよりひどい。雨の音と耳鳴りが重なり、気分の悪さは次第に吐き気へと変化していく。
それは、十代の頃から私を苛み続けている貧血の症状によく似ていた。
けれど、それとは決定的に違う気もする。そういえば、生理中にもこうなることがあった……生理中にも。
前に生理が来たのは、いつだった?
浮かんだ自問に、ぎり、と心臓が軋んだ。
途端に震え出した指先を、もう片方の手で無理やり押さえつける。ぐるぐると視界が回り、ついに立っていられなくなった私は、廊下の端で自分の身体を抱き締めるように蹲った。
大丈夫。尊さんだってそう言っていた。
ここでは時間が経っていなくて、同じ一日を繰り返しているだけ。生理なんて、ここにいる限りは来ないのかもしれない。
――違う。
う、と呻きが零れた。
もう無理だ。どれもこれも、いつまでもごまかし続けていられるわけがない。
『孕んでくれればいいのに』
『ここではそんなこと、絶対に叶わないけど』
ねぇ尊さん。もしかしたら、私。
震える指で下腹に触れると、乱れた呼吸が少しずつ落ち着いていく。