柩雨夜 ―終わらぬ梅雨、願わくば君に愛と枷を―
 ねえ、話、通じてる?
 生理が来ないことの意味を、尊さんは本当に分かってくれてる?

 彼が大丈夫だと言いきる理由が分からない。
 尊さんだって気づいているだろうに、どうして。
 怖い。この不安を消せるのは尊さんだけだ、だから。

 ――〝だから〟、なに?

「う」

 気が滅入る。なにをどうしたらいいのか、私には少しも分からない。
 尊さんが私を呼んでいる気がする。くらくらと揺れる頭の奥、それが想像の産物なのか現実のものなのか、区別がつかない。

 ただ、息が詰まる。

「……すな……明日名!」

 肩に触れられる感触があった。
 そのときになって初めて、私はそれが現実だと理解した。

「あ……?」
「こんなところで……大丈夫? 立てる?」

 廊下に蹲ったきり、静かに深呼吸を繰り返していた私を見つけたらしい。
 青い顔をした尊さんは、まるで自分が直に苦痛を受けているような目で、私の肩を小さく揺すってくる。

「うん。ちょっと、眩暈がして、それだけ」

 朦朧としつつも声をあげた途端、彼はしゃがみ込む私の身体を抱き寄せた。
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