御曹司ですが、日本で恋活します


 シンボルツリーの前に、思っていたほど人はいなかった。
 私達は、一番よく見える小高い丘のてっぺんのベンチに座る事ができた。

「多分、花火は四歳くらいの時に観たって母親が言ってたけど、俺にとってはほぼ初めての体験」

 ジンさんは私を見て肩をすくめる。

「だって、全く覚えてないし、うちの母の記憶も当てにならないから」

 私は可笑しくて笑った。
 ジンさんのお母さんのキャラが想像できる。

「ジンさん、そろそろ始まりますよ」

「はい…」

 何となく緊張してるジンさんは本当可愛い。
 そんなに豪華なものはないけれど、頭上で上がる花火はやっぱり何度見ても綺麗。
 私は隣で静かに見ているジンさんの横顔を見つめる。
 ほんのちょっと鼻の頭がキュッと上がっていて、ジッとしている時に口角を上げる癖がある。
 私はその仕草が大好きだった。


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