辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「ラウガルトさんが、僕の先生で嬉しいです。ありがとうございます」

 トーリはぺこりとお辞儀をした。

「トーリ殿には、返しても返しきれない恩ができてしまいましたからな」

 たぶんそれは、エルヴィを助けただけではなく、主君を裏切らずにすんだということも含んでいるのだろう。それはわかっていたけれど、あえてトーリも口にすることはなかった。
 ラウガルトは、剣術の先生としてもなかなかやり手らしい。五歳児の身体には負担にならないように気をつけながらも、体力をつけられるように工夫しているのがトーリにもわかった。

「エルヴィちゃんは元気ですか?」
「はい。今日は屋敷で留守番をしております」

 誘拐されたエルヴィも、あの時のことがトラウマになっていないようでよかった。トーリは安心していたけれど、トーリを取り巻く環境は、トーリ自身が予想していたよりも厳しいものだった。

「うまいこと、陛下に取り入ったものだな」
「誰が?」
「お前が、だ」

 ラウガルトと別れて自室に戻ろうとしていたら、廊下で通りすがりにそう声をかけられた。面白くないのは理解できるが、黙って受け入れなければならない理由はない。
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