辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 なんて、両親の結婚事情にやたら詳しい五歳児というのもどうなのだろう。トーリに前世の記憶があるなんて誰も知らないので、侍女達はトーリの前で口をつぐむことはしない。

「さあ、行きましょう」
「はい、母上」

 エナメルの靴に締め付けられた足は、早くも苦痛を訴え始めている。

(これ、痛いって言っちゃ駄目かな……駄目なんだろうな……)

 貴族たるもの、どうふるまうべきかもう教育が始まっている。足が痛いのを隠すように微(ほほ)笑(え)んで、トーリは馬車に乗り込んだ。

「トーリは、どんなスキルを授かるのだろうな」
「王国の役に立つスキルに決まっていますわ。ラプハート家の子供ですもの」

 トーリの頭上で、両親は穏やかに会話をかわしている。聞いているトーリの方がひやひやである。そんなにハードルを上げてしまって、問題ないのだろうか。
 トーリの考えなんてよそに、馬車は教会に到着していた。
 この国では、スキルを授けてくれる創世神をあがめている。
 出迎えた司祭は、辺境伯家の子息が鑑定の儀式を行うということで、最上級の礼服をまとっているようだ。礼拝の時に見る衣服とは違う。

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